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パミール屋根は塗装したらダメってほんと?屋根の特徴とメンテナンス方法とは

2024.06.20
近年、新しく使われることのなくなったパミール屋根は、その特有の問題点と維持管理の難しさが特徴の屋根です。

今回の記事では、パミール屋根の特性と塗装が行えない理由、そしてメンテナンス方法についてご紹介します。


□パミール屋根の特性と塗装できない理由




パミール屋根材は、アスベストの代替素材としてニチハによって1996年から2008年にかけて販売されました。
当時、アスベストの健康リスクが広く認識されたことで、アスベストフリーの新しい建材へとシフトが求められていました。
その結果として開発されたのが、パミールとよばれる製品です。

この屋根材は、耐久性や断熱性を保ちつつも、アスベストを含まない安全な材料を使用しています。


1:層間剥離とは




パミールの屋根材は抄造法により製造されており、複数の薄い板を重ね合わせ、圧縮しながら水分を抜いて固めています。

そのため、層間に微細な隙間が生じやすくなり、この隙間から水分が浸入することで、屋根材の内部で水が停滞し、それが冷暖の影響を受けて層間剥離を引き起こします。

この現象は、表層が剥がれて屋根材の素地が露出し、見た目の劣化だけでなく、機能的な劣化をもたらします。


2:塗装が困難な理由




通常、化粧スレート屋根材は10年ごとの塗装で美観と保護を保てますが、パミールの場合、層間剥離により表面が剥がれやすくなっています。
表層が剥がれると、塗料を適切に定着させることが困難になり、一度剥離が始まると、塗装を施しても下地の劣化が進行するため、効果的なメンテナンスができないのです。


3:その他の問題点




さらに、パミールを固定する時に使用されたラスパート釘にも問題がありました。
釘の耐食性表面処理が不十分であったため、錆びや腐食が進行しやすく、強風や台風時には屋根材が落下する危険性も高まっています。
これにより、隣家への損害や修繕費が増加するリスクも生じています。


□パミール屋根のメンテナンス方法




パミール屋根の維持管理には、塗装によるメンテナンスが不可能であるため、異なるアプローチが必要です。
特に推奨されるのが、屋根カバー工法と屋根葺き替え工事です。


1:パミール屋根の屋根カバー工法




屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新たな屋根材を重ねることで、二重の屋根構造を作り出します。
これにより、既存の屋根を撤去することなく、迅速かつ経済的に屋根の耐用年数を延長可能です。


2:パミール屋根の葺き替え工法




屋根葺き替え工事では、既存の屋根を完全に撤去し、新しい屋根材で全面的に葺き替えることで、屋根全体の構造を見直し、長期的な耐久性を確保できます。
特に防水紙や野地板の点検・交換が可能となるため、根本的なメンテナンスが行える大きな利点があります。


□まとめ




この記事では、パミール屋根の特性と適切なメンテナンス方法について解説しました。
特に層間剥離の問題は、適切な対策を講じることで長期的な解決が可能です。
屋根カバー工法や屋根葺き替え工事を適切に選択し、実施することで、パミール屋根の持続可能な維持が実現できます。

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