①外壁材
1.湿式工法と乾式工法
湿式工法 | 乾式工法 |
〇水を加えて練り混ぜた材料を硬化乾燥によって定着させる
工法です。 |
〇水を使用せずにボード上の外壁材(サイディング等)をボルトや
釘で取り付ける工法です。 |
〇現在(2000年4月以降)は外気通気構法が原則となっていますが、それ以前は直貼り工法(防水紙と壁材の間に隙間が無い工法)が一般的でした。 | |
〇モルタル下地吹付仕上げが代表的な施工方法です。 | 〇シーリングによる防水処理が重要となります。 |
2.窯業系サイディング
木造住宅の乾式工法による代表的な仕上げです。セメント質原料と繊維質原料を混ぜて板状に成形した建材で、防火性、断熱性、デザイン性に優れています。通気構法で施工することで、壁体内の結露防止効果も高まり、構造体の耐久性も向上します。
〇木造住宅で多く使われているのは、窯業サイディングが60%、モルタルが20%、金属サイディングが10%、ALCが10%です。
〇セメントと繊維質原料を混ぜて板状に成形したものです。
〇表面に柄や塗装が施され、釘や金具で取り付けます。
〇耐火性も高く、工期も短くできます。
〇サイディング同士の接続は、あいじゃくりでつなぎ、ジョイント部はシーリングで処理します。
3.金属板張り
亜鉛メッキ鋼板、ガルバニウム鋼板、塩化ビニル樹脂鋼板などの鋼板を外壁材として施工します。アスファルトフェルトの下地に胴縁を施工し、その上に貼って仕上げます。窯業系サイディングに比べて、一般的に耐候性があります。
ガルバニウム鋼板 :鋼板にアルミニウム合金でメッキ処理したもの。亜鉛鋼板の3~5倍の耐候性があります。
亜鉛メッキ鋼板 :鋼板を亜鉛メッキ処理したものです。
塩化ビニル樹脂鋼板:塩化ビニル樹脂で保護皮膜を作った鋼板で、比較的安価です。
金属サイディングは、ガルバニウム鋼板やアルミ板などを素材とし、断熱材を裏打ちしています。施工方法は、窯業系サイディングと同様です。
〇金属板張りは、木口の錆や防水処理に注意します。
4.モルタル
湿式工法による仕上げで耐火性、耐久性に優れており、表現の自由度があります。通常は表面に塗装や吹付で仕上げを施します。
湿式工法による外壁なので、表面にひび割れが起きやすく、構造躯体への悪影響を防止するためには、ひび割れには早めの処置が必要になります。
一般的な施工法は下地板にアスファルトフェルトを張り、ラスを貼ってモルタルを塗り、最後に仕上げ材で表面を仕上げます。
仕上げの種類は、吹き付け塗装仕上げ、こて刷毛模様仕上げ、扇模様仕上げ、リシンかき落としなどがあります。耐久性は表面の塗材の種類によって大きく異なります。
〇湿式工法のため、工期が長く施工技術に熟練を要します。
〇乾燥によりひび割れが生じやすいです。
〇従来は木摺をある程度の間隔をあけて横張りし、その上に防水紙とラス網を取り付けモルタルを塗っていました。
〇最近では、直接モルタルを塗ることができる左官下地用の耐力面材が多く使われています。
〇モルタル下地の上には、薄塗りのアクリルリシンなどの塗料を吹き付けることが多いが、弾性塗料を塗ることもあります。
〇タイル仕上げは、モルタルや接着剤で張り付ける湿式工法と金具でタイルを引っ掛ける乾式工法があります。
5.外壁の通気構法
2009年(平成21年)10月以降、外壁通気構法の法的根拠について、住宅瑕疵担保履行法第19条「瑕疵担保」に関する設計基準にて、乾式外壁材は外壁通気構法が規定されました。
外壁の通気構法とは、外壁の防水層と外壁の間に通気を行う空間を設ける構法です。構造は柱の外面に構造用合板を張り、その上に透湿防水シートを貼り、通気用胴縁を取り付けて空気層を設けた上で外壁仕上げを行います。
壁体内にしみ込んだ雨水は通気層を流れる気流で乾燥させます。透湿防水シートを用いることで壁体内の湿気を排出できるので、壁体内部の結露防止効果が期待できます。
6.コンクリートの外壁
コンクリート構造の外壁では張り壁や塗り壁が多く用いられますが、剥離して脱落しないように取り付けることが必要です。一般的には塗装による仕上げまたは張り物による仕上げが用いられます。
〇タイル張り
〇石張り
〇モルタル下地塗装仕上げ
〇塗りつけ
〇吹き付け
〇打ち放し仕上げ
7.ALCパネル
高温高圧蒸気養生により製造された軽量気泡コンクリートパネルをALCパネルといいます。耐火性、断熱性に優れていて、床材としても使用されます。表面が軟質で吸水性があるので外壁に用いるときは吹き付けタイルなどで仕上げます。
〇ALCとは、気泡の入った軽量コンクリート板です。
〇木造住宅の外壁では、37㎜のものが一般的です。
〇表面がフラットなものから柄模様のものもあります。
〇表面の塗装は現場で行います。
〇縦横のジョイント部分はシーリングで処理します。